[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
主な小説更新の場所。 ジャンルぐっちゃ 注意書きをよく見てくださいね。 オリジナル>版権の割合で多分更新しますぐ。
学年一の人気者。
成績も良く、スポーツも出来る。
明るく、ちょっと天然がはいっている性格で女の子の心をがっちりとつかみ。あっさりさっぱり、誰にも媚びない態度で男子からも好かれる。そんな漫画みたいな男子生徒、小野大貴(推定19歳)にどうして私はこんなにもがっちりと、そりゃあもう周りの女の子が叫ぶくらい抱きしめられているのでしょうか・・・?
Don't look me !
今日は午後からの授業しかないからと、のろのろ大学に来てからわずか15分、一人で当てもなく歩いていると、前方から何かびっくりしたような声が聞こえた。どこかで聞いたことのある声だな、と思いつつも気にとめないでいると、その声はどんどんこちらへ近づいてくる。
「森川ー!!」
大きく私の名前を叫びながら突進してくる小野大貴(推定19歳)
「え、は、何!?」
そのままばっと腕を広げ迫り来る小野大貴(推定19歳)に体育3の私が反応できる訳がなくて、されるがままにがっしりと抱きしめられてしまった。
「うぐっ!!」
「あ、ごめん!」
くるしかったよね?ごめんね、と謝る小野大貴(推・・・19歳)に、いやいや周りの視線が一番痛いです離れて下さい話しかけて下さい来ないで下さいと口に出せるわけはなく。
「だ、大丈夫・・・・」
「ごめんね・・・」
そっと私をホールドしている腕を今度は私の肩に移動させる。
おいおいおいおい、ちょ、周りの視線が・・・。
「はぁ、森川が人でよかったぁ・・・。」
「・・・ん?」
小野はキョロキョロと辺りを見渡した後、私の顔をじっと見つめる。ばちり、と音がでそうなほど瞳がかち合い、思わず視線を外すも胸が早鐘を打ち始めてうるさい。
「ひ、人でよかったって何・・・?」
赤くなってしまいそうで誤魔化すように言葉を紡ぐと、面白いくらいに声が震える。
なにこれなにこれ!!
「なんか、朝から女の子がみんな大根に見えるんだ・・・。」
「・・・なにそれ。」
「大、中、小・・・色んな大根が歩いてるように見えるんだ・・・」
困ったように眉をひそめる姿からは嘘をついている様子は見られない。大根・・・と言うことは今この私たちを取り巻いて未だギリギリ言っている女の子たちが大根に見えるのだろうか。・・・・すごく、うらやましい・・・。
「・・・森川?」
「えっ?あ、ああー・・・と」
「・・・信じられないよね、俺もバカみたいだなって思うし。」
や、案外信じてますよ、私。と言おうとした口が、潤んできた目の前の瞳に止められる。
「人に見えるの、森川だけなんだ。」
あぁ、もう、耳と尻尾が垂れ下がったわんこが見える、わんこが。
「俺の傍にいて。」
きゅーんきゅーんと鳴きながらそっと私の指を握りこちらを見つめて来るわんこに首を横に振れる訳がなかった。
END