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勘弁して下さい。
スランプの時に生み出した子たちなんですが、
書き直してみたけども全然変わらなかったという恐怖。
雰囲気で・・・。
てか、なんでお前らそんなにあっさり付き合ってんだって感じですよね。
いやー、わからないなぁ、最近の子の考えることは←←←
いや、もう、ほんとすみませんでした・・・。
ゲイだってばれちゃった男の子と、部活の仲間のお話?
語弊があるかもしれない。
BL注意です。
それでは、どうぞ。
視線が突き刺さるってこういうことか。
女子は何かを含んだ、ニヤニヤとした不快な顔で笑い、男子は一歩引いたような苦笑いか、嫌悪感丸出しであからさまに避けるか。
「ったく、お前らも暇な奴だな。人の噂で騒ぐくらいなら、英単語の一つでも覚えろよ。」
吐き捨てるように言うと、廊下の空気が一瞬で止まる。気にも留めず歩き続けると、ぼそり、と誰かが呟いた言葉が耳に入る。
「うっせーよ、ホモ。」
『俺たち、』
それ、が始まったのは一週間前の木曜日。
いつも通り学校に登校すると、なぜだかじろじろと見られて気分が悪かったのはよく覚えている。いつもつるんでる奴らに声をかけても生返事で、不思議に思っていると、ふといつも以上に盛り上がっている掲示板の前に気付いた。悪い予感というものはよく当たるもので、人混みをかき分けて前に進み出ると、一枚の写真が貼られていた。
「・・・なんだよ、コレ。」
それは、俺が男とキスをしている写真だった。男の方はうまく顔が隠れていて分かり難いが、きっと俺の部活の先輩。
ばっと写真を剥がし、くしゃくしゃに丸めてポケットに突っ込む。はっと我にかえり周りを見渡すと、その場の全員が不自然に視線を逸らして、それでもどこかそわそわとしてそこにいた。
きっとこの時、「いやー、先輩との罰ゲーム見ちった?どう?俺と一発?」なんて、いつもみたいに軽い調子でふざければよかったんだ。そうすれば、多少の疑いは残しつつも、みんな見て見ぬふりしやすかったのに。俺は、出来なかった。
バカみたいに動揺して、その場から走って逃げ出したのだ。
確かに、俺は世に言うところのホモで、女の子を好きになることが出来なかった。気づいた時には、俺は周りに合わせて話をするようになって。いつも適当に好みの女の子をでっち上げたりして、女の子とも付き合ったりして。好きな奴に彼女が出来て、「よかったな!」なんて嘘をついてまで、必死に隠してきたのに。たった一枚の写真で俺の全てが崩れ去った気がした。
写真に書かれていた"ホモ"という黒い文字を否定しようともしなかった俺は、写真が貼られてからしばらく経った今でも、こうして噂の中心として生活しているというわけだ。
うるさいくらい賑やかだった俺の周りは音をひそめ、友人達のなかには、たまに話しかけてくるやつもいるが、今までの気安さとか、明るさとかは無い。
それもそのはず、『あの写真は罰ゲームでもなんでもない、俺のことが好きでせめてキスしてくれって言われたからしてやったんだ。』なんて、バカなことを写真に写っている部活の先輩が仄めかしているらしい。
よく言うよ。
好みじゃねぇって言ってんのに、キスだけでいいからって迫ってきたのはそっちの方だろうが。
てか、みんな先輩の方を信じるのか、なんて、呆れて何も言えなくて、否定するのもバカバカしくて、ほっといてる俺も俺だけど。
まだ昼休みには少し時間が早いが、4時限目の授業を抜け出し、屋上へと向かう。友人と一緒にお昼を食べなくなってから、屋上に籠もるようになった自分が弱々しくて吐き気がする。
立ち入り禁止になっている屋上の扉に掛かっている鍵を、持っていたピン留めでなんなく開け、屋上のフェンスに寄りかかる。そっと目を閉じると、冷たい風が頬を撫で、感傷的な気分になってしまいそうだった。
「ちっくしょ・・・」
目許を腕で押さえ、ずるずると座り込む。
冷たいコンクリートが制服のスラックスごしに身体を冷やしていく。
なんで俺が、なんて思ってない。
いつかは起こるだろうと思っていたことが、存外早く、最悪な形で現れたというだけなのだ。
あと、1年、我慢すればいい。どうせ人の噂はなんちゃら日とか言うんだ、すぐ興味が無くなって、騒がなくなる。誰も気にしなくなる。
それまで俺は、黙って息してればいい。
何も考えず、息だけをしてればいいんだ。息だけを、
「三浦くん、大丈夫?」
不意に頭の上に暖かいものが乗せられ、柔らかな声が耳に届いた。上を向くと、同じ部活の黒川がこちらを見つめていた。
「黒川・・・?どうしてここに・・・」
俺の頭に乗せていた手をおろしながら、黒川の穏やかな顔を呆然と見つめながら呟く。黒川は部活が同じというだけで特に接点もなく、たまに廊下ですれ違い、挨拶するぐらいだ。そんな黒川がどうして。
黒川はそっと笑い、俺の隣に腰掛けた。
「屋上って、案外どこの教室からも見えないんだね。」
「え、あ、ああ・・・そうだな。」
突拍子のないことを言われ、少し戸惑うが黒川は彼にしては珍しく饒舌で、俺の方をちらりと見て、また話し始めた。
「でもね、一カ所。一カ所だけ、屋上が見えるところがあるんだよ?」
俺は質問の意味も、答えも、何もかもがわからなくて、ただ黒川に視線を向けることしか出来なかった。
「・・・図書室。ほら、あそこ、校舎から出っ張ったとこにあるでしょ?そこからね、三浦が見えたから、俺、びっくりして・・・来ちゃった。」
「図書室って、お前、授業は・・・?」
「ん?あぁ、大丈夫、進路の資料集め?だかだから。」
あぁ、そういえば黒川は特進クラスだったか、なんて思いながら、わずかに暖かい左側になれてしまいそうになって、俺は思わず立ち上がった。
慣れてはいけない。恋しくなるから。
そんな俺を黒川は少し細めた目で見上げ、俺の足をその大きい暖かい手の平で掴んだ。
驚き、慌てて手を振りほどこうとすると、逆にその足を引き寄せられる。
「俺ね、三浦くんのことが好きなんだ。」
「は・・・え・・・?」
ぎゅ、とスラックスがしわになるほど握りしめられ、はっとして黒川の方を見ると、黒川はうつむいていて、その顔を見ることはかなわなかった。
「からかってるとかじゃないよ、俺も女の子、駄目なんだ。」
コンクリートに向かって吐き出されたその声は、どこか自嘲気味で、聞いているこちらの方まで苦しくなる。
「・・・今回の、大変だね。」
「・・・そーでもねーよ、隠す必要が無くなったから、周りに合わせて話さなくていーし。」
「そっか・・・」
ようやく顔を上げた黒川は、自分の事のように少し安心した顔をして、そっと笑った。この黒川が俺を好き?Likeじゃなくて、Loveで?まじかよ・・・。
「まじだよ、LoveだよLove」
「うぇ!?何で!?」
「声に出てたよ。」
にこにこと笑う黒川を見ていられなくて、熱を持った頬を隠すように両手で覆い、視線をずらした。
「・・・Love?」
「うん、Love、一目惚れ。」
「うっわぁ・・・恥ずい・・・。」
指の合間から黒川を盗み見ると、思いがけず目が合って、さらに恥ずかしくなった。
「ちっくしょー、ときめく。」
「・・・ときめくの?」
「ときめく。きゅんきゅんだよ。」
ぎゅ、とシャツの胸の辺りを握りしめてみせると、黒川は嬉しそうに顔をほころばせ、っと握っていた俺のスラックスから手を放した。
なにこいつ、くそ可愛い。
俺がすっとしゃがみ、無言で黒川の頬を指で掴み、左右に引っ張ると困ったように笑う。思いっきりひっぱり、手を放してやると、情けなく眉を下げて、頬を擦っている。
「・・・で、お前はどうしたいんだよ?」
「え・・・?」
唖然とした黒川の顔がアホっぽくてちょっと笑えた。
「どうしたいんだよ?」
「え・・・あ、の、付き合って下さい・・・」
答えがわからない子供みたいにこちらを伺いつつ呟く黒川に、にっと笑いかけ、俺よりも少し高い位置にある頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
「・・・おう、」
撫でていた手を掴まれ、そっと手を重ね合わせ握りしめる。そっと笑いあうと、黒川が不意に真面目な顔をして俺の顔を伺い見る。
「三浦くん、俺にちょっと考えがあるんだけど。」
「ん?」
「・・・あのね、」
× × × × × × × ×
「お、おい、黒川・・・」
黒川と二人で廊下を歩いていると、黒川の友人らしき生徒が戸惑ったように声をかけてきた。
「まぁ、こういうことだから、よろしくね。」
心配する俺をよそに、黒川は爽やかな笑顔で言い放ち、俺の手を取り堂々と歩き始めた。
「黒川、なんか、吹っ切れてね?」
「当たり前!嬉しいからね!!」
付き合えるなんて夢にも思ってなかったし、と顔を緩める黒川にこちらもなんだか嬉しくなって、繋いだ手を大きく振った。
どんどん大きくなっていく騒ぎに顔を見合わせる。
「・・・やりすぎたかな。」
「・・・いーや、大成功だよ。」
二人の背中には2枚の紙が貼られている。
『俺たち、』
『付き合ってます。』
END