とりあえず、なんとなく。

同じタイトルで違う話も考えてたんですけどね…。
まぁ、可愛く出来たからいいかなっ！

ＡＰＨ
学パロ　フランシス×にょぷ
にょぷ＝ゆーるひぇんではありません

にょぷ全然でないけどねっ！
お兄さんの一人称です。

おｋでしたら続きからどうぞ。

☆きみに恋をあげる

　どうしようもないことは、どうもしない。

　良く言えば諦めがよく、悪く言えばあっけない。
　もう何人目かわからない彼女に振られて、すでに三日。そろそろ次の彼女が欲しくなって、ふらふらと一人で街を歩く。時たまこちらに、意味ありげに視線を投げかけてくる女の子達に、さらりと笑って見せると頬をほのかに赤く染めるのが可愛い。
　確かに、別れる前に言われた「 さいてー 」という言葉は間違いでは無いかもしれない。今回はちょっと間違った。まさか彼女が無断で部屋に入ってくるなんて思わなかったから、すっかり油断して他の女の子と帰ったのがまずかった。結局俺は二人の女の子に頬を打たれた。

　自分だって、遊びだって言ってたじゃない。

　心の中で呟いた言葉は、思っているより恨みがましく聞こえて思わず苦笑が漏れた。こんなところ見られたら、きっとあいつらに笑われちゃうな。
　あの脳天気で空気を読まない男と、まったく女っ気のない子が自然と浮かんで来て、さらに口元が緩む。あの二人は今頃この間のテストの補習を受けているのだろう。あの馬鹿はまだしも、ぷーちゃんは頭はいいんだから真面目に勉強すればいいのに。
　そしたら今頃二人で…とよくない思考がまわる。
　諦めたはずなのに、しばしば浮かび上がってくるその思考に、深いため息が零れてしまいそうになる。あの子の何処に惹かれるところがあったのか自分でもわからない。気付いたときには、あの女の子らしさの欠片もない、少年みたいな子にどうしようもなく惚れてしまっていた。
　まったく、厄介だよ。
　どんな女の子と付き合っても、ふと浮かんでくるのはあの色気のない寝顔だったり、弟のことをでれでれと話すだらしない顔だったり。女の子の可愛い笑顔を見ながら、ぷーちゃんの涎を垂らした顔が浮かび上がって来たときは自分の脳内を疑った。
　
　何気なく入ったアクセサリーショップで、あ、これぷーちゃんに似合いそうなんて思って、思わず指輪を買ってしまった時には、思わず店先で頭を抱えた。
　恥ずかしくてたまらなかった。
　こんなにも一人の子に、入れ込むことなんて今までなかったからなおさら、どうしたらいいかわからない。愛に生きるお兄さんとしてはひっじょうに不本意。

　ポケットの中で指輪の入った箱を転がしながら、駅に向かってあるくと、ふと目の端に特徴的な銀髪が見えた気がして、喫茶店の中をのぞき見る。

　「え…？」

　そこには満面の笑みでパフェを頬張るアントーニョと、それを呆れた顔で肘を突き見つめているぷーちゃんがいた。
　いつもの俺なら、へらへらしまりのない笑顔でさらりと入っていけるのに、今はそれが出来ない。あんなに浮かれてアクセサリーなんか買っちゃったから余計悪い。
　勢いよく店のドアをあけ、店員のお姉さんの驚いた顔を横目に、コーヒーのカップに手をかけようとしているぷーちゃんのその白い腕を掴み、有無も言わせずに引いていく。

　「ん？フランシス？」

　どないしたんや？ときょとんというアントーニョを無視して店をでる。ぷーちゃんはすごく困惑した顔をして、大人しく腕を引かれている。意識し始めてから、故意にスキンシップを避けていたせいで、腕の細さとか、脆さをまじまじと感じてしまって、もう止まらなかった。

　しばらく小走りに進み続けて、ようやく細い路地の真ん中で立ち止まった。我ながらムードも何もない。美しくない。でも、そんなこと構っていられなかった。
　どうしようもないのだ、どうもしない。自分のやりたいようにするよ。

　「…フランシス？」

　「ごめんね、ぷーちゃん。」

　か細い声で俺の方を伺ってくるぷーちゃんに、嫌に女の子だということを感じてしまって、胸が高鳴る。こんなの初めてで、どうしたらいいのかわからない。このお兄さんがこんなにさらけ出してるのなんてそうそう見れないよ？だから、ちょっとくらい格好悪くても、どうか笑わないで聞いて。

　「…好きだよ。」

　お願いだから、この小さな箱を受け取って。
　そして俺に微笑んでくれ。
　　

                                　　　　                      END