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「坂田隊長!!」
幹部の山田くんだか山本くんだかが駆け寄ってくる。まだ少年とも言える彼は、土方の姿を見て口元を押さえて嘔吐(えず)いた。その汚いものに触れさせたくなくて、居ていた白い着物で土方の首を静かに包む。
悪いな、連れて帰んねぇと、あの堅物共は納得しやがらねぇんだ。…あ、臭いとか言うなよ。これでも一昨日洗ったんだぜ?…あれ、もっと前だったっけ…?
少し申し訳なくなりながら両手の中に彼を収める。その様子を怖々と見ていた山田くん(仮)に、前方の旧幕府軍を全員捕らえるように言い渡す。
どこか嬉しそうに、全員殺しますか?と尋ねてくるそいつの瞳をちらり、と見ると、そいつは面白いくらいに固まった。ガタガタと情けなく震えている様にも見えるその身体を、顔も見ずに通り過ぎる。
「馬鹿言ってんじゃねーぞ、全員保護しろ。」
弱々しい声で返事をした山田くんは、戦意を失って座り込んでしまっている旧幕府軍の方へと向かっていった。
「ったく、どっちが"侍"だかわかんねぇのか。」
吐き捨てるように呟くと、酷く驚いた顔で隊員がこちらを見てくる。しらっとした顔で、俺、先に帰ってるから。と言い放ち、馬へと跨った。
また、一人いなくなった。
抱えた既に冷え始め、ひやりとした冷たさが伝わってくる。
「…キレイに死にやがって。」
空は、雲ひとつ無く碧かった。
END